何かは分からないけど、なんとなく旨そうな何か

今回のコラムを書くきっかけは、最近立て続けに観たチャップリン映画で、何を食べているのか良く分からないのに、何を食べていても旨そうに感じるシーンがたびたび登場し、それが非常に愉快だったということにある。
 

 

 

 

  今回のコラムを書くきっかけは、最近立て続けに観たチャップリン映画で、何を食べているのか良く分からないのに、何を食べていても旨そうに感じるシーンがたびたび登場し、それが非常に愉快だったということにある。ちなみにその中での僕のフェイバリットは『黄金狂時代』という作品の中のチャップリンが靴を食べるシーンで、その靴が実際何で出来ているのかは分からないのだけど、ひもじくて仕方なく食べるその靴の形をとった何かがサイコーに旨そう、かつ爆笑させられ、まぁサイコーなのである。

黄金狂時代.jpgのサムネール画像

 本題に入る前にもう2点ほど例を挙げておくと、夏目漱石の『吾輩は猫である』にも『トチメンボー』という謎の料理が出てきて、これは登場人物の寒月君がでっち上げた全く存在しない嘘の料理名なのだけど、10代の頃にこの小説を読んだ僕は、ネーミングの響きからなんとなく『甘くておいしいぺろぺろ舐める棒』のようなものを想像していて、結局そんなものはないのだということが発覚し、がっかりしたものだ。ちなみに、夏目漱石は太宰に次いで僕が最も敬愛する日本人の作家のひとりで、こういったユーモアの感覚がとても気に入っている。

吾輩は猫である.jpgのサムネール画像

 その最も敬愛する太宰の私小説である『津軽』にも『リンゴ酒』というものが登場し、今ではシードルみたいなものかな、とぼんやり味の想像もできるけど、当時はまったく味も分からず、どうやらビールや日本酒ほどは上等なものではないようだけど、なんとなく美味しそうな感じ、というものを漠然と思い描いていたものだ。そういえば、当店のオーナーは青森出身なので、いつかこの『リンゴ酒』というものについて聞いてみようと思っているのだが、依然として聞けないでいる。

津軽.jpgのサムネール画像

 事程左様に、実態が分からなくても、そのネーミングやルックスで美味しさを連想するということは往々にしてある。

 

 さて。『Vinoteca SAKURA』へお越しいただいたことのある方々なら周知のことではあると思われるが、当店にはメニューブックがなく、当日のメニューは全て黒板にて手書きで表記されている。定番のメニュー以外はおおよそ1ヶ月ほどの周期で季節のメニューを変更しており、ひと月の間の中でもころころとメニューが変わることもあり、営業前のミーティングの時点でメニューの変更をホールスタッフへ伝え、現在は新人の山本がそれを黒板に書き記してくれている。

 

 このメニュー表記というのがなかなか頭を使うところで、お客様の来店時にはホールスタッフから料理の説明はあるものの、お客様には極力メニュー名を見ただけでおおよそどういうものか想像がつくようなものでなければなかなか頼んでいただけないし、かと言ってあまりに分かりやすすぎるネーミングだと飲食店として恰好がつかなかったり、料理の定義として間違っていたりと、そのバランスが思いのほか難しい。

 

 最近、ガストロノミー系レストランのコースメニュー表記で主流となりつつある、主要な食材の名称だけを羅列するメニュー名や、あるいは既存の料理名ではなく抽象概念をその皿の名称とする手法も、コース料理の提供時の意外性の演出としては効果的という印象だが、『SAKURA』のアラカルトメニューはもちろんだが、コースメニューの表記としても今のところ採用は難しいし、やっぱりあれってなんかちょっとアレな感じがする。

 

 個人的には料理のタイトルはパッと見て味の想像はできるけど、出てきたものはその想像を超えた味である、というバランスがベストかと思っていて、もっと言ってしまえば、メニュー名を見てなんとなく旨そうに感じられたらそれでいいや、って感じなのである。

黒板.pngのサムネール画像

 今年の5月より3種類あったコースを2種類に絞り、新たに13,000円の高価格帯のコースを導入したのだが、料理内容はもちろん、シルバーや皿も特別なものを用意していて、今後は通常のコースにはお出ししていないコースの内容が記載されたリーフレットをお付けする予定で、その準備が進んでいる。
 

 僕としては、自分がレストランでコース料理を食事する際は、次の料理に何が出てくるのか知りたくない派ではあるものの、シンプルでなんとなく旨そうなメニュー名をひねり出し、その期待を超える料理を提供していきたい所存である。

 

SAKURA シェフ 石橋

 

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