どん底飯-その1

『何を食べるかよりも誰と食べるか』『空腹は最大の調味料』などの言葉があるように、

 




 

 


キッチン石橋スーシェフのコラム

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『何を食べるかよりも誰と食べるか』『空腹は最大の調味料』などの言葉があるように、

食事をするシチュエーションで料理の味が変化するということはごく当たり前のことととして共感していただけると思う。

食事をする状況は様々あるが、中でも最近、僕がとても魅力を感じているのは、人生における最底辺のような状況で食べる食事である。

 

例えば、トルストイの『戦争と平和』という小説のなかで、貴族のピエールがフランス軍の捕虜になり、ボロボロの状況で食べさせられる馬の肉は、彼が普段から食べていた贅沢な食事よりも旨そうに描かれているし、
夏目漱石の『坑夫』で主人公の青年が最下層の人間が集まる坑道で身を粉にして働くことになった際に食べる南京米という「土壁のようにまずい米」も、なぜか次第に旨そうに見えてくる。
 サムセット・モームの『月と六ペンス』でストリックランドがホームレスになり無料宿泊所から通うスープ配給所で配られる恐ろしく「薄いスープ」も魅力的だ。

 

 最近の文学作品だと、何年か前に直木賞を獲った西村賢太の『苦役列車』という作品の主人公が、日雇いの肉体労働で得るなけなしの金で食べる食堂の定食と安酒が、まー旨そうなのなんのって!
(ちなみに残りの金はほとんどソープに消える)
この『苦役列車』は映画化もされていて、個人的にはより鬱屈とした印象の原作の方が好みだったけど、映画の中で森山未來が演じる上記の食事シーンは本当に秀逸なので、そのシーンを見るだけでもこの映画を見る価値はあると思う。

 

さて。
このような人生における最低最悪の瞬間に食べるろくでもない食事(それでいてそこはかとない魅力を感じさせる食事)を、僕は先日
『どん底飯(DONZOKOMESI)』と命名した。

 

僕が実際に経験した最も印象的だったどん底飯は、イタリアのナポリで料理修行していた時に経験したもので、
長い間片思いをしていた女性が結婚するという日本からの知らせを聞き、ついでにその新婚旅行先がイタリアであるという話まで聞いて、いてもたってもいられなくなって行ったナポリの中華屋でのことだったが、
この話は長くなるので次回のコラム『どん底飯2』で書こうと思います。それではまた次回。

 

SAKURA スーシェフ 石橋

 

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